- 今どき現金払いなんて頭が悪いんじゃないの?
- 迷惑なのに気付いてないの?
そんな声を耳にすることがあります。しかし、現金払いにはまだメリットもあり、一概に時代遅れとも言い切れません。
そこでこの記事では、なぜ現金払いは頭が悪いと思われるのか、理由を徹底解説しつつ、現金払いのメリット・デメリットもわかりやすく紹介します。この記事を読めば、キャッシュレス派・現金派どちらの人も、適切な使い分けのヒントが得られます。
現金払いが頭悪いと思われることがある主な理由は、ポイントが付かず損をしている点や会計に時間がかかるといったことが挙げられます。
様々なキャッシュレス決済を駆使し、FP1級も取得している筆者マッピーが解説しているので、完全キャッシュレス決済派の方も現金派の方も、ぜひ最後まで読んでください。
目次
【デメリット】ニコニコ現金払いは損?頭悪い言われてしまう8つの理由
「いつもニコニコ現金払い」なんていうキャッチフレーズがあるほど、日本では長い間現金払いが定着しています。しかし、2025年の日本では、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済(スマホでお店のコードを読み取り、アプリから直接支払う方法)といったキャッシュレス決済が主流です。
キャッシュレス決済をメインにされている方からすると「今どき現金払いは頭悪い」と思われるでしょう。ここでは「現金払いは頭悪い」と言われる8つの理由を解説します。
- ポイントが付かない
- 誰が触ったかわからず不衛生
- 支払いに時間がかかり、後ろが迷惑する
- ネット決済で手数料がかかる
- 紛失や盗難にあっても戻ってこない
- ATMで出金する時間と手数料がかかる
- 使える金額は手持ちの金額まで
- マネーリテラシーが低いと思われている
ポイントが付かない
現金払いではポイントが付きません。
クレジットカード・電子マネー・QRコード決済などの多くのキャッシュレス決済は、0.5〜1.5%程度のポイントが付与されますが、現金払いでは一切ありません。
仮にポイント還元率1%であれば、1万円の買い物で100ポイントも返ってくることになります。キャッシュレス決済は1%引きで買い物ができるのに対し、現金払いでは何も返ってこないので結果割高な買い物となり、損をしてしまうと考えられます。
誰が触ったかわからず不衛生
お札や硬貨などの現金は不特定多数の人が触っているので、不衛生です。トイレの後に手を洗わない人や、クシャミを手で塞いで洗わず、そのままの手で現金に触る人も実際にはいます。
キャッシュレス決済であれば、クレジットカードなら本人と店員さんだけ、電子マネーやQRコード決済なら基本的に本人以外は触れないので衛生面でも安心です。
支払いに時間がかかり、後ろが迷惑する
お店の会計時、現金払いだと財布の中を見て、硬貨を探して…といったように小銭をジャラジャラして会計するまでに時間がかかります。
特に後ろに他のお客さんがたくさん並んでいる状況だと待たせることになり、そんなモタモタしている姿を見て「現金払いは迷惑」「やめてほしい」と感じてしまうでしょう。
キャッシュレス決済なら、以下の方法でスムーズに支払いが完了します。
- クレジットカード
差し込むだけ、または通してサイン - 電子マネー(Suica等)
スマホやカードを機械にかざすだけ - QRコード決済(PayPay等)
アプリを立ち上げてQRコードを読み取ってもらう、または店のQRコードを読み取って金額を入れる
クレジットカードを差し込む、Suicaなどの電子マネーでかざす、一瞬で支払い完了です。キャッシュレス決済の速さに慣れているからこそ、現金払いは迷惑と感じてしまうのです。
ただし、中には店員さんが電子マネー決済への切り替え作業やクレジットカードの読み取り機を出してきたりするのに時間がかかる場合もあります。
キャッシュレス決済の準備の時間を考慮しても、全体的に現金払いの方が時間がかかる傾向にあるでしょう。
ネット決済で手数料がかかる
インターネットで買い物をする際は、現金払いだと「代金引換」になるので手数料がかかり、キャッシュレス決済に比べ多くの金額を支払う必要があります。
例えばAmazonでは、代金引換による支払いは最低330円(税込)の代引手数料が必要です。キャッシュレス決済では基本的にかからないことを考えると、現金払いならでは大きなデメリットです。
紛失や盗難にあっても戻ってこない
現金は落としたり盗難にあっても、基本戻ってくることはまずありません。
例えばクレジットカードなら多くのクレジットカード会社では、紛失や盗難時に不正利用された場合、本人に重大な過失がなく、第三者によって不正利用されたとクレジットカード会社が認めれば、60日前までの利用について補償されます。
電子マネーやQRコード決済であっても、万が一スマホ等を落とした場合、連絡をすればすぐに停止してもらえます。クレジットカードと同様に補償制度もあるので安心して利用できます。
しかし、現金にはそのような補償は一切ないため、それだけリスクが高いと言えるでしょう。
ATMで出金する時間と手数料がかかる
ATM等で現金を出金するのには、時間と手数料がかかります。具体的には以下のような手順が必要です。
- ATMまで行く
- ATMで並ぶ
- ATMで現金を引き出す
(出金手数料がかかる)
条件によっては出金手数料無料になりますが、時間だけは必ずかかります。特に給料日後の25日や26日頃はATMも混雑するので、並ぶ時間が無駄になります。
また、出金手数料も1回あたり110円〜330円程と決して安くはありません。
キャッシュレス決済なら現金を引き出す必要がないため、現金を出金する時間や手数料がもったいないと感じるのでしょう。
使える金額は手持ちの金額まで
現金払いだと手持ち以上の金額は使えません。特に高額な商品を買いたくなった場合、不足分をATMで出金してくる必要があります。例えば、家電量販店で欲しいPCを見つけてもお財布に支払えるだけの現金が入っていなければ、その場で買うことはできません。
現金を出金するため、ATMに行く手間がかかってしまいます。(出金するATMや時間帯によっては手数料が発生することも)クレジットカード1枚持っていれば、現金不足でもPCなどの高額商品をその場で購入できます。
マネーリテラシーが低いと思われている
現金払いはマネーリテラシーが低いと思われることがあります。キャッシュレス決済は支払いはスピーディーでポイントも付くのに、使わないのは何も知らないのかな?と判断されるためです。
スピードも遅くポイントも付かない現金で支払うということは、時代の流れについていけず、マネーリテラシーが低い=貧乏な人、と思われている可能性が考えられます。
現金払いを好んで使う4つの理由
ここでは、現金払いをされている方が何故好んで現金を使うのか?、考えられる4つの原因を解説します。
昔からずっと現金を使ってきたから
昔からずっと現金払いをしている方は現状に満足しているので、キャッシュレス決済の必要性を感じていません。キャッシュレス決済が急速に普及したのはまだここ数年の話です。
今からわざわざキャッシュレス決済などの別の支払いに変更しようとは思わず、必要性を感じなければ無理して手を出すことありません。昔からずっと現金払いをしている方の考えは、若者でも年配の方でも同じです。
キャッシュレス決済を使うのが怖い

キャッシュレス決済は、電子マネーやQRコード決済などたくさんあってよくわからず、使うのが怖いと考える方もいます。
昔からある、クレジットカードでも、後払いの借金で怖いと考えている方はクレジットカードを使うのは抵抗があるのでしょう。今までずっと現金払いをしてきた方にとって、キャッシュレス決済は未知の世界と言えます。
何が得なのかわからないから現金に落ち着く
キャッシュレス決済はたくさんの種類があってどれが良いのかわからず、今まで通り現金払いで落ち着きます。大きく分けてクレジットカード、電子マネー、QRコード決済の3種類あります。
電子マネーやQRコード決済だけでも、Suica、PASMO、iD、QUICPay、PayPay、楽天ペイ、d払いなど種類は豊富です。今までキャッシュレス決済とは無縁だった方に、キャッシュレス決済の種類や違いを理解するのはほぼ不可能です。
どの店舗でどのキャッシュレス決済が使えるのか、どれが自分にとって一番お得なのか調べる必要があり、そんなに面倒なら現金でいいやとなってしまうのではないでしょうか。
現金払い以外は頭にないから
いつも現金払いをしている方はキャッシュレス決済というものに、最初から頭にありません。昔からずっと現金払いなので、キャッシュレス決済で支払いという考えがないのです。
クレジットカードを知らない方はほぼいませんが、支払いは全て現金で当然という認識なので、「早い」「お得」なんて考えも当然ありません。
若者でも現金派の方は一定数います。全体ではキャッシュレス決済派66%、現金派34%という調査結果が出ています。(20~40代では70%以上がキャッシュレス決済派と回答)現金派の若者は一定数いることがわかります。
現金払い7つのメリット

現金払いには、キャッシュレス決済にはないメリットもたくさんあります。ここでは現金払いならではの7つのメリット解説します。
実店舗ではほぼどこでも使える
現状の日本において、現金が使えないお店はほぼなく、どこでも使えるのは大きなメリットです。キャッシュレス決済は、地方や個人店などを中心にまだまだ使えないお店は数多くありますが、現金払いなら使えない心配はありません。
キャッシュレス決済対応店舗でも全てのキャッシュレス決済が使えるわけではなく、例えば「クレジットカードは使えないがPayPayは使える」「楽天ペイは使えないが、Suicaなら使える」といった店も存在します。
お店ごとにどのキャッシュレス決済が使えるのか確認しなければいけないのは意外に面倒ですが、現金ならそんな心配はほぼ無用です。(都市部を中心に、キャッシュレス決済のみ対応のお店も稀に存在しますが…)
不正利用の心配がない
現金払いは手持ちの現金以外使えないため不正利用される可能性はまずありません。しかし、キャッシュレス決済では不正利用される可能性が少なからずあります。
例えば、以下のような事例です。
- クレジットカード
番号を盗用され不正利用された - QRコード決済
偽のQRコードを読み取ってしまい、お店ではなく不正者にお金が渡ってしまった
クレジットカードや電子マネーには不正利用による補償制度はあります。ただし、クレジットカード会社へ連絡をしたり警察へ被害届を提出したりと手続きに手間がかかるのは事実です。不正利用の心配をしなくてよいという点では、現金払いは安心です。
お金の管理がしやすい
お金の管理がしやすいのも現金払いのメリットです。現金なら財布の中を確認すればいくら使ったかすぐにわかるからです。例えば千円札を使ってお買い物をすれば、財布からそのまま1,000円がなくなるので、わかりやすいでしょう。
もちろんキャッシュレス決済でも、利用明細などを見れば収支はすぐに把握できます。ただ、キャッシュレス決済のようにデータではなく、実際の現金を見て管理をしたいという方には現金はお金の管理がしやすいでしょう。
現金払いの方が多くポイントがもらえるお店がある
お店によっては、現金で支払うとお店のポイントを多く付けてくれるところもあります。例えば、大手家電量販店のビックカメラやヤマダ電機では、現金での支払いは基本10%のポイントが付与されますが、クレジットカードでは基本8%のポイント還元です。
※一部のキャッシュレス決済では、現金と同等のポイントを付与してくれるものもあります。
現金払いで多くポイントを付けてくれるお店でよく買い物される方は、現金払いの方が結果お得です。
使いすぎを防止できる
現金払いなら手元にある金額以上のお金を使うことはできず、使いすぎ防止に役立ちます。お店でついつい魅力的な商品を見つけても、お財布にその金額以上のお金が入っていなければ買えません。
現金が不足していたら、ATM等で出金してくる必要があります。ATMまで行く手間などを考えると購入するまでのハードルが上がるため、使いすぎ予防に効果的です。
災害や通信障害に強い
災害や通信障害があっても、現金払いなら問題なく使えます。日本は地震や台風など自然災害が多い国です。自然災害以外にも通信障害も定期的に起きていますが、そんな状況でも現金は強いです。
例えば、通信障害では直近では下記のような事例があります。
【KDDI(au)の主な通信障害】
2022年7月2日午前1:35〜5日15:36にかけ大規模な通信障害が発生し、全国のau回線が非常に繋がりづらい状況となった。約3091万人に影響。
【NTTドコモの主な通信障害】
2022年12月17日午前7:50〜0:44に通信障害が発生し、西日本の一部利用者でインターネットが繋がりづらい状況となり、約240万人に影響。
通信障害が発生したら通信できずQRコード決済が使えない、といったことも十分考えられます。
災害で長時間の停電などが発生した場合、クレジットカードや電子マネーも使えなくなる可能性が高くなります。通信障害や災害でも、現金であれば使えないことはほぼないため安心です。
新しいことを覚える必要がない
キャッシュレス決済を使うには使い方を覚える必要があり、苦手な人には負担になることもあります。
例えば電子マネーやQRコード決済であれば、下記のような流れです。
- アプリのインストールや基本情報の登録
- チャージや決済などの利用方法を確認
- 対応店舗・非対応店舗をチェック
キャッシュレスの中でもクレジットカードは比較的簡単に利用できます。ただし、利用明細を見るのにインターネットに繋げてログインする必要があったり、引き落とし日までに入金しておかなければいけないなど、現金払いに比べれば手間がかかることは間違いありません。
「新しいことを覚えるのが難しい」「スマホなどの操作が苦手」という方には、現金払いが安心できますね。
海外旅行時も現金は必要
海外旅行ではクレジットカードなどのキャッシュレス決済が進んでいても、実際には現金が必要になる場面が少なくありません。例えば、屋台や市場、ローカルな個人商店ではキャッシュレス決済に対応していないことが多く、小額の支払いに現金が重宝されます。
特に以下のような場合では、現金は役立ちます。
- ホテルのベッドメイキングのチップ
- レストランでのチップ
- 現地の公共トイレの使用料
さらに、クレジットカードのスキミング被害や不正利用を防ぐために、敢えて現金払いを選ぶ旅行者もいます。
万一のクレジットカード利用不可や紛失の際にも現金を持っていれば安心です。海外旅行では、キャッシュレス決済だけに頼らず、適度な現金を用意しておくことがトラブル回避と快適な滞在のカギと言えます。
地方や個人店ではまだ現金払いが主流
地方の高齢者向け商店や小規模店舗では、キャッシュレス決済は使えなくことが多く、現金が必要な場面がまだ多いのが現状です。
主な理由は以下の通りです。
- キャッシュレス決済を導入しても集客効果が見込めない
(高齢者の割合が多いため) - キャッシュレス決済の導入費用や手数料が高く、店の負担が大きい
- 現金と違い入金まで時間がかかるので、資金繰りが厳しい
- 現金に慣れていて管理しやすい
- キャッシュレス決済導入するのが面倒
キャッシュレス決済で支払いをされると入金も時間がかかり、数パーセント程度の手数料を事業者に支払わなければいけないので、お店側のメリットが少ないです。管理もしやすい現金払いをしてもらいたいのが本音でしょう。
地方に住んでいて個人店を中心に買い物をされている方には、やはり現金こそが最強の決済手段です。お客さんが多い都市部のお店ではキャッシュレス決済導入のメリットはあるものの、高齢者の割合が多くお客さんも少ない地方や個人店ではまだまだ現金が必要です。
キャッシュレス決済と現金の併用がおすすめ
本記事では、現金払いが頭悪いと思われることがある理由と、現金払いを好んで使う理由、現金払いならではのメリットについて解説しました。
キャッシュレス決済は便利でお得です。しかし、日本では現金が必要な場面も多いため、両方使い分けるのが賢い方法です。公共料金の支払い・税金の支払いなどは現金払いでポイントが付かないことが多いため、キャッシュレス決済が使える場面では積極的に活用し、現金を使う場面を見極めることが節約のコツです。
普段はキャッシュレス決済を中心に利用し、現金も併用すれば困ることはほぼなくお得に利用できます。
「今後キャッシュレス決済も使いたいけど何から始めればいいかわからない」という方は、以下の記事で初心者におすすめのキャッシュレス決済を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

・現金払いが頭悪いと言われてしまう理由は、ポイントが付かず割高、不衛生、支払いに時間がかかるなど
・現金払いを好む理由は、昔からずっと使ってきてキャッシュレス決済を使うのが怖い、何が得なのかわからない、現金以外で支払うという考えがないから
・現金払いは、実店舗ではほぼどこでも使え、不正利用の心配がない、災害に強い、使いすぎも防止でき、新しいことを覚える必要がないなどのメリットがある
・地方や個人店ではまだ現金払いが主流のため、完全キャッシュレス決済移行は当分先
・キャッシュレス決済を利用しつつ、現金も併用するのがおすすめ