こんにちは、マッピーです。
「フリーランスになった(なる予定)だけど、会社員と比べて公的保障が心配」
「フリーランスにはどんな公的保険があるのか知りたい」
このようにフリーランスとしてやっていこうと考えている方にとっては、公的保障等の悩みや心配事も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、フリーランスは公的保障が少ない理由、フリーランスにおすすめの公的保険、それらの保険のメリットやデメリットについて詳しく解説しています。
本記事を読めば、フリーランスは何故公的保障が少ないのか、その少ない保障を充実させるためにはどのような保険に入ればよいのか具体的にわかります。
フリーランスに興味はあるけれど、保障が少なく不安に感じている方にとって役立つ内容となっているので、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
目次
フリーランスが公的保障が少ない理由とは?
フリーランスは会社員と違い、公的保障が少ない傾向にあります。
その少ない公的保障をカバーするためには、ご自身で備えなければなりません。
ここでは、公的保障が少ない理由を解説します。
雇用保険に加入できないため、失業しても給付が受けられない
会社員(アルバイトでも週20時間以上働くなどの条件を満たした場合も含む)では当たり前のように加入している雇用保険ですが、フリーランスは自営業に該当するため、雇用保険に加入できません。
雇用保険に加入している会社員は、万が一失業したとしても失業保険(失業給付)を受給できますが、自営業であるフリーランスはそのような保障は一切ないのです。
※失業保険を給付するには、被保険者期間が過去2年間に12ヶ月以上必要など、一定の条件があります。
そのため、仕事を失ったとしても公的保障には頼れず、貯金などご自身でやりくりする必要があります。
労災がないため、仕事中のケガも自己責任 ※ただし特別加入制度対象者は加入可能
労災保険についても、フリーランスは基本的に加入できません。
労災保険(正式名称:労働者災害補償保険)とは、会社に雇用されている人が仕事中、または通勤途中に病気やケガをした場合に保険給付される公的保険です。
会社員だけでなく、アルバイトやパートも含みますが、保険料は全額会社負担となっています。
ただし例外があり、フリーランスも労災保険に加入できる場合があります。
それが「特別加入制度」と呼ばれるもので、業務の実態や発生状況などから判断し、労働者に準じて保護する必要があると判断された職種の場合に限り加入できます。
加入できる職種の人は下記の通りです。
【特別加入制度に加入できる職種】
- 中小事業主等
- 一人親方等
- 特定作業従事者
- 海外派遣者
例えば、最近流行りのUber Eats や出前館などのフードデリバリーの配達員も労災に加入できます。
傷病手当金がないので、病気やケガをしても自己責任
業務以外の事由で病気やケガに遭った場合、会社員が加入する健康保険では一定の条件を満たせば傷病手当金を受給できますが、フリーランスなどの自営業者が加入する国民健康保険には傷病手当金の制度がありません。
傷病手当金とは、プライベート中の病気やケガで働くことができないと医師が判断し、連続して3日間会社を休んだ場合に、4日目から標準報酬日額の2/3が支給される制度です。(最長1年6ヶ月間まで)
国民健康保険にはこのような制度がないため、病気やケガで仕事を休んでも全て自己責任となってしまいます。
出産手当金がないため、出産が近い女性は注意
出産手当金とは、出産前42日と出産後56日の間に出産のため仕事を休んだ場合に、標準報酬日額の2/3が支給される手当金です。
会社員であれば出産する前後(出産前42日と出産後56日)に会社を休んだ場合に、出産手当金が支給されますが、フリーランスなどの自営業者が加入する国民健康保険には出産手当金制度がありません。
今後フリーランスになりたくて出産予定がある女性は頭に入れておきましょう。
国民年金保険のみなので将来もらえる年金が少ない
会社員では当たり前のように加入する厚生年金ですが、フリーランスなどの自営業者は厚生年金には一切加入できず、国民年金のみとなります。
会社員時代に厚生年金に加入していてフリーランスとなった場合、厚生年金は脱退し、新たに国民年金に加入します。
国民年金が1階部分とすれば、厚生年金は国民年金に上乗せする「2階部分」に該当するので、納める年金も多くなる分、将来の受給できる年金も当然多くなります。
国民年金だけの場合、40年間満額支払っても月額65,000円程しか受給できないので、老後の生活を考えるとちょっと頼りない金額ですね。
また、厚生年金であれば年金保険料は会社と折半ですが、国民年金は全額自己負担です。
※2022年度の国民年金保険料は月額16,590円。
保障が少ないフリーランスにおすすめの公的保険
では、公的保障が少ないフリーランスの方がより手厚い保険に入る方法はないのでしょうか?
実はフリーランスなどの自営業者には様々な公的制度が用意されており、ここで紹介した保険等に加入すれば、保障が小さいと言われているフリーランスでも保障内容はより充実します。
これから1つずつ解説します。
付加年金
付加年金とは、国民年金の加入者が国民年金保険料にプラスして付加保険料を支払うことで、将来受け取る年金を増やすことができる制度です。
月400円の付加保険料を追加するだけで、将来受け取れる年金(老齢基礎年金)の受給額が永久的に増額されるというもの。
増額される金額は、200円×付加保険料納付月数で計算され、2年で元が取れるお得な制度となっています。
加入できるのは、フリーランスや学生、無職などの国民年金第一号被保険者となります。(会社員は加入できません)
付加年金に加入するメリットとデメリットは下記の通りです。
【メリット】
- 2年間で元が取れる
- 支払った年金保険料が全額社会保険料控除の対象になる
- 老齢基礎年金と同様に繰り下げ受給もでき、同時に増額される
- 国民年金保険料と合わせて請求されるため、クレジットカードでも支払える(ポイントが付く)
【デメリット】
- 繰り上げ受給すると、付加年金も減額される
- 65歳前に死亡しても支払った保険料は返還されない
- iDeCoの拠出限度額から、付加保険料分は控除される(iDeCoの拠出上限が67,000円までとなる)
- 国民年金基金と同時加入はできない
国民年金基金
こちらも付加年金と同様、国民年金に加入する第1号被保険者や任意加入被保険者が加入できる制度です。
通常の国民年金(老齢基礎年金)に上乗せすることで、会社員の厚生年金のように「二階建て」となり、将来もらえる年金が増えます。
毎月の掛け金は加入時の年齢・性別・給付の型により異なり、掛け金は月額68,000円が上限です。
第1号被保険者であれば住所や業種は問わず加入できる「全国国民年金基金」と、各基金ごとに定められた事業や業務に就いている国民年金の第1号被保険者が加入できる「職能型国民年金基金」があります。
事業内容はどちらも同じで、いずれか1つのみ加入できます。
こちらのメリットとデメリットは、下記の通りです。
【メリット】
- 支払った年金保険料が全額社会保険料控除の対象になる
- 亡くなるまでずっと受け取れる一生涯の終身年金
- 給付の型と加入口数を月額68,000円以内で自由に選択できる
【デメリット】
- 国民年金保険料の免除を受けている人や、農業者年金の被保険者は加入できない
- iDeCoも加入している場合、合わせて月額68,000円までが上限となる
- 加入した後に将来の年金額が確定するため、インフレリスクに対応できない
- 加入後は任意で解約できない
- 付加年金と同時加入は不可
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国民年金や厚生年金とは別に、自分で掛け金を拠出して運用し、60歳以降に年金を受け取る私的年金制度です。
iDeCoのメリットとデメリットは下記のとおりです。
【メリット】
- 拠出した掛け金が全額所得控除になる
- 運用益が非課税
- 受け取り時も一定額まで非課税
- 加入者が死亡しても、死亡一時金として遺族がまとめて受け取れる
【デメリット】
- 原則60歳まで解約不可(引き出しできない)
- 加入期間が短い場合、60歳から受給できない
- 各種手数料が必要(加入や口座管理手数料)
- 元本割れのリスクがある
節税しながら老後のための資産形成ができる非常にお得な制度ですが、会社員の方は12,000円〜23,000円(企業年金の加入有無などにより拠出上限額は異なる)が拠出できる上限となっています。
しかし、フリーランスなどの自営業者は会社員と違い、最大月額68,000円まで拠出が可能です。
例えば、企業年金に加入していない会社員は月額23,000円までしか拠出できませんが、フリーランスなら月額68,000円まで拠出できるので、より大きな節税効果が得られます。
収入が増えてくると支払う税金も上がってきますが、iDeCoの掛け金を上げることにより、より大きな節税対策をしながら老後の資産形成ができます。
このようにフリーランスはiDeCoの拠出できる金額が大きいのは、大きなメリットです。
小規模企業共済
中小企業などの小規模経営者やフリーランスなどの方が、廃業や退職した時に備えて退職金を積立できる制度。
毎月お金を積立をして、廃業時などにそのお金を受け取れます。
毎月の掛け金は1,000円〜70,000円まで500円単位で自由に決められ、加入してからも増額や減額が可能です。
運営しているのは中小企業基盤整備機構(中小機構)で、国が全額出資している独立行政法人です。
主なメリットとデメリットは下記の通りです。
【メリット】
- 拠出した掛け金が全額所得控除になる
- 1,000円〜70,000円まで500円単位で細かく掛け金を決められ、加入後も変更できる
- 掛け金の範囲内で低金利で貸付を受けられる
- 受け取り時にも所得控除が受けられる
【デメリット】
- 加入月が20年未満だと元本割れのリスクあり
- 12ヶ月未満で脱退したら掛け金が戻らない
- 受け取り時は所得控除が受けられるとはいえ、課税対象には変わらない
フリーランスのおすすめ保険・まとめ
本記事では、フリーランスが公的保障が小さいその理由と、そんなフリーランスにとっておすすめの公的保険について解説しました。
公的保障が小さいフリーランスでも、付加年金や国民年金基金など、会社員では加入できない公的保険に加入することにより、ある程度の保障内容は充実できます。
また、iDeCoは会社員も加入できるものの、拠出できる金額には大きな差があり、フリーランスは非常に優遇されているのがわかります。
会社員時代にiDeCoに加入されていた方は、まずは掛金を上げてみてはいかがでしょうか?
本記事を参考に、自分に合った保険を選んでみてください。
それでは。
・フリーランスは会社員と比べて公的保障が小さい(雇用保険、労災、傷病手当金、出産手当金等がなく、国民年金のみのため将来もらえる年金が少ない)
・月額400円の保険料で2年で元が取れる付加年金や、国民年金に上乗せできる国民年金基金は、フリーランスならではのお得な公的保険
・iDeCoは最大68,000円まで拠出可能なため、節税効果が大きい
・小規模企業共済は、フリーランスの退職金のような制度