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【社会保険料で損しない】月途中の入社・退職のメリット・デメリットとベストな日付

  • 月の途中で入社・退職すると社会保険料はどうなるの?
  • 月途中に退職すると損しないって本当?

転職や再就職のタイミングで悩むのが入社日・退職日の決め方です。社会保険の仕組みを知らないと「1日しか働いてないのに1ヶ月分の保険料を支払う」など損をすることも少なくありません。たった1日の違いで、数万円の損をしてしまうこともあるのです。

そこで本記事では、月途中に入社・退職するメリット・デメリット、社会保険料の計算の仕組み、賢くお得に入社・退職する具体的な方法をわかりやすく解説します。

この記事を読めば、いつ退職をして、いつ入社すれば自分にとって一番ベストなのか把握できます。

結論からいうと、月の途中で入社した場合は入社月から1ヶ月分の社会保険料がかかり、月の途中で退職した場合は退職月の社会保険料はかかりません。

FP1級、そして私自身も複数回の転職を経験してきたからこそ分かる、リアルな視点と制度の解説を交えて、あなたの疑問を解消していきます。入社日・退職日を決める前に、ぜひ最後までお読みください。

月途中で入社・退職した場合の社会保険料の仕組み

社会保険料は月の途中で入社しても、日割り計算されず1ヶ月分が発生します。逆に月途中で退職すると、退職月の社会保険料はかかりません。なぜなら、社会保険料は「月の末日に在籍しているか」で判断されるため、日割り計算という概念がないからです。

例えば、以下のようなケースで考えてみましょう。この仕組みを事前に知っておくだけで、あなたの手取り額を大きく変えることができるんです。

【例】

  • 5/12入社 → 5月分の社会保険料が発生
  • 5/30入社 → 5月分の社会保険料が発生
  • 5/15退職 → 5月分の社会保険料は不要
  • 5/30退職 → 5月分の社会保険料は不要
  • 5/31退職 → 5月分の社会保険料が発生

【月途中に退職をすると社会保険料がかからない理由】

月の途中に退職をすると社会保険料がかからない理由は、被保険者の資格喪失日にあります。資格喪失日は退職日の翌日になるため、月末に退職すると翌月の1日に、月末の前日に退職すると月末が喪失日になります。

社会保険料の支払いが必要なのは、資格を喪失する日の前月分までです。(給与から控除されます)

例えば次のようになります。

  • 3月31日に退職
    (4月1日に被保険者の資格を喪失するため、前月である3月分までの社会保険料が発生)
  • 3月30日に退職
    (3月31日に被保険者の資格を喪失するため、前月である2月分までの社会保険料が発生)

このように月末に退職をすると1ヶ月分の社会保険料を負担しなければなりません。一方で月途中に退職することにより、1ヶ月分の社会保険料の支払いをしなくてもよくなるのです。

雇用保険料は月途中に退職してもかかります。雇用保険料も日割りという概念はなく、退職月の給与から1ヶ月分差し引かれます

月途中に入社・退職するメリット・デメリット

具体的にどんなメリット・デメリットがあるのか、一つずつ見ていきましょう。

月途中に入社する5つのメリット

月途中に入社するメリットは次の5つです。

  • 早く転職先で働き始められる
  • 前職での社会保険料・国民健康保険の支払いが不要になる
  • 社会保険料は会社と折半!手取りがグッと増える
  • 会社によっては入社翌月から社会保険加入のケースもある
    (例:6/26日入社 → 7/1から社会保険に加入)
  • 履歴書・職務経歴書に入社月をそのまま記載できる
    (例:8/1、8/31どちらも同じ8月入社)

月途中に入社する3つのデメリット

月途中に入社するデメリットは次の通りです。

  • 月末に近い入社日でも1ヶ月分の社会保険料がかかる
    (例:7/29入社 → 1ヶ月分の社会保険料が発生)
  • ボーナスが減る!?入社月は賞与査定の対象外になる可能性あり
  • 年次有給休暇のカウント開始を翌月からに設定される場合がある
    (例:8/7入社 → 9/1から1ヶ月目とカウント、3/1から有休を付与)

月途中に退職する4つのメリット

月途中に退職するするメリットは次の4つです。

  • 退職月の社会保険料が不要になる
  • 社会保険料が引かれないため手取りが増える
  • 履歴書に退職月をそのまま記載できる
    (例:6/1、6/30どちらも同じ6月退職)
  • 年次有給休暇の付与計算で有利なケースがある
    (例:2/17入社 → 2月を1ヶ月とカウント、8/1から有休を付与)

月途中に退職する2つのデメリット

月途中に退職するデメリットは次の通りです。

  • 退職月は国民年金・国民健康保険料(または任意継続)の支払いが必要
  • 退職後の書類到着が遅れる可能性がある
    (例:離職票・雇用保険被保険者証・源泉徴収票など)

任意継続とは、会社を退職後、会社で加入していた健康保険の被保険者資格を最長2年間継続できる制度です。任意継続を選択した場合、保険料は全額自己負担となります。任意継続の加入条件は、退職月の前日までに継続して2ヶ月以上被保険者であったことと、退職日の翌日から20日以内に申請する必要があります。

国民年金保険料は1ヶ月あたり17,510円(令和7年度)です。国民健康保険料は収入や地域によって異なるので役所に確認しよう

入社・退職で損をしない賢い日付の決め方

入社日と退職日で後悔しないために、ここでは賢い日付の決め方について解説します。

入社日は月初が最もお得!

「社会保険料」だけを考えて入社日と退職日を決める場合、入社日は月初が最もお得です。途中入社でも社会保険料は同じのため、1日でも長く使えるからです。

例えば、月末に社会保険に加入してしまうと、1日しか働いていなくても1ヶ月分の社会保険料が発生してしまいます。健康保険料は特に要注意!たった1日しか加入していないのに、1ヶ月分の保険料をまるまる支払うことになります。

以下に比較表をまとめましたので、参考にしてください

月初vs月途中入社 社会保険料負担比較表
月初入社 月途中入社
1ヶ月分の社会保険料が発生 1ヶ月分の社会保険料が発生

このように、社会保険料の負担という点では、月初入社が圧倒的にお得なのがわかります。

ただし、会社によっては社会保険の加入は入社日からではなく、入社から2〜3ヶ月後になる場合があります。(中小企業で多い)社会保険の加入日を入社日からずらしている理由としては、入社後にすぐに辞める人がいるためです。

社会保険料は加入月については、たとえ数日や1週間であっても1ヶ月分の社会保険料が発生し、半分は会社負担となります。

社会保険に加入後、万が一数日間などの短期間で従業員が退職した場合、支払う給与より社会保険料の方が大きくなり、給与天引きができない可能性があります。

社会保険料を給与から天引きできなかった場合、別途不足分を退職者に振り込んでもらうなどの対応が会社側で必要になってきます。退職者から不足分の社会保険料を請求することは、会社にとって手間がかかるだけでなく、振込されない可能性もあるなど、会社側にはデメリットしかありません。

【筆者マッピーの体験談】
※社会保険料が日割り計算にならないことを知らず、筆者自身が損した体験です。

筆者は昔、社会保険料が日割り計算にならないことを知らず、月末に入社してしまいました。1日しか出勤していないにも関わらず、1ヶ月分の社会保険料が発生してしまいました。

特に健康保険は1日しか使えないにも関わらず、1ヶ月分の健康保険料が発生してしまったので、とても損をした気持ちになりました。

入社した会社は月初入社でも調整してくれたので、素直に対応してもらえればよかったなと当時は思いました。この経験から、私は皆さんには同じ失敗をしてほしくありません。

退職日は月途中がお得!ただし2つの注意点も

退職日は月途中(できれば月末前日)がお得です。何故なら、月の途中退職であれば退職月の社会保険料がかからず、節約できるからです。

例えば、3月で退職を考えているのであれば、3/31ではなく3/30付で退職をすると、3/30まで健康保険証は使えます。3/30付の退職なら3月分の社会保険料はかかりません。

月末の前日に限らず、月の途中に退職するのであれば退職月は社会保険料は一切かからないため、3/15でも3/20でも同様です。

退職月の社会保険料を節約すると将来の年金額に影響します。1ヶ月分の保険料で年金額は年間数百円単位の変動なので、将来の年金か現在の手取り重視かで検討しましょう。

その他の注意点として、役所で国民年金と国民健康保険(または任意継続)の切り替え手続きも必要になるため忘れずに。

月末と月途中退職、どちらが良いか、それぞれメリット・デメリットをまとめましたので、参考にしてください。

月末vs月途中退職 メリット・デメリット比較表
月末退職 月途中退職
メリット ・将来の年金額に影響しない ・退職月の社会保険料が不要
(健康保険も退職日まで使える)
デメリット ・退職月の社会保険料の支払いが必要 ・将来の年金額が減少する
・国民年金と国民健康保険の切り替え手続きが必要

将来の年金額を重視する方は月末対象、退職時の手取り額を重視する方は月途中退職がおすすめです!

月途中に退職して次月から新しい就職先が決まっている場合、本来は残りの1日でも国民健康保険(または任意継続)に切り替え手続きが必要です。手続きしなければ請求が来ないため、1ヶ月分の保険料が浮きます。

しかし、一時的に無保険期間が発生するリスクや、将来的に遡って請求されるリスクもあるため、適切な手続きをおすすめします。

月途中退職を認めていない会社もあるから、退職時は会社に確認してね

【Q&A】よくある疑問に答えます

Q:月途中で入社した場合、社会保険料はどうなりますか?
A:入社月の途中であっても1ヶ月分の社会保険料が発生します。社会保険料には日割りという概念がないからです。月初入社が最もお得です。月途中入社を避けたい場合、転職先の会社で月初から入社できるか、または社会保険料を次月の月初からにしてもらえるかどうか相談してみましょう。

Q:月途中で退職した場合、社会保険料はかかりますか?
A:社会保険料はかかりません。ただし退職翌日から国民健康保険(または任意継続)・国民年金の切り替えが必要です。尚、国民年金保険料の金額は、1ヶ月分あたり17,510円です(令和7年度)です。国民健康保険料は収入や地域によって異なるため、気になる方はお住まいの役所に確認しましょう。

Q:月途中で退職して国民健康保険の切り替え手続きをしないとどうなりますか?
A:国民健康保険への切り替えは義務付けられています。手続きを怠ると、万が一の病気や怪我の際に医療費が全額自己負担となるリスクがあります。また、後に遡って保険料を請求される可能性もあるため、速やかな手続きをおすすめします。

Q:月途中で退職して国民年金の切り替え手続きをしないとどうなりますか?
A:国民年金の切り替え手続きせずに放置しておくと、日本年金機構から「国民年金未納保険納付勧奨通知書(勧告状)」が送られてきます。

通知書には保険料を納めていない期間と金額が記載されているので、記載の期日までに金融機関やコンビニなどで未納額を納めてください。国民年金を支払わないと将来もらえる年金の額に影響が出ます。

まとめ:入社日は月初がお得!退職日はそれぞれの事情による

この記事では、月途中に入社や退職をするメリットとデメリット、社会保険料で損をしない日付の決め方、注意点について解説しました。

最後に、今回の重要ポイントを整理しておきます。

  • 入社日は月初が社会保険料的にお得
  • 退職日は月途中なら社会保険料がかからない
  • 月途中の退職は将来もらえる年金額が減り、別途、国民年金や国民健康保険料の支払いが必要

社会保険料で損をしない転職・退職をするために、入社日・退職日の設定は非常に重要です。迷った場合はFP(ファイナンシャルプランナー)や社会保険労務士へ相談するのも一つの手です。

本記事を参考に、ご自身にとってベストな日付をよく検討してみてください。

今回のまとめ

・社会保険料は、月の途中に入社しても1ヶ月分かかるが、月の途中に退職したらその月はかからない

・社会保険料は日割り計算ではないため、月初に入社した方がお得

・会社によっては、社会保険の加入は入社から2〜3ヶ月に設定している場合もある

・月途中(月末の前日など)に退職すると退職月は社会保険料がかからないが、将来もらえる年金額に影響したり、国民年金や国民健康保険(または任意継続)の切り替え手続きと保険料納付が必要

・月途中の退職だと退職月は社会保険料はかからない。その理由は被保険者の資格喪失日にあり、社会保険料の支払いが必要なのは喪失する日の前月分までのため