健康保険

有休を使うと損!?病気やケガで長期間会社を休んでも安心な傷病手当金とは?

会社員の皆さんは、病気やケガで会社を休んだことはありませんか?

「体調が悪いので1日だけ休んだ」「ケガをしたので1週間程休みをもらった」「インフルエンザにかかったので5日間休んだ」など様々な理由があると思います。

そして会社に休みを申請する際に「有休があるから有休申請して休めば給料減らなくて安心」と思って有休の申請をしていませんか?

ちょっと待って、実はそのまま有休を使うと損をしてしまうかもしれません。

有休を使うと何で損なの?と疑問に思った方のために解説します。

今回は皆さんが会社で入っている健康保険のお得な制度について紹介したいと思います。その名も傷病手当金。

傷病手当金について

傷病手当金とは、病気やケガで会社を休んだ時に、会社で加入している健康保険の保険者からお金がもらえるというもの。

要は、休んで給料がもらえない期間中、本人や家族の生活を保障するための公的な制度ということですね。

ただし、給付には条件があります。その条件とは

1、業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

2、仕事に就くことができないこと

3、連続する3日間を含む4日以上仕事に就けないこと

4、休業期間中に給与の支払いを受けていないこと

となっています。

難しいと思いますので1つ1つ解説していきます。

まず1つ目は、業務でケガをした場合などは対象外となること。業務上や通勤途中のケガや病気等については会社が加入している労災保険を使うことになりますので対象外です。

つまり、通勤途中や会社で仕事中ではなく、プライベートで生活していた際にケガをしたり、病気になって休業した場合には対象になるということです。

2つ目は、そのケガや病気をしたことにより、仕事に就くことができない場合は対象となりますが、仕事に就けるかどうかは個人の判断だけでなく、医師の判断も必要になります。

病気で病院に行き、お医者さんに症状を伝え、こういう状態のため働くことが難しいことを話して、医師が仕事に就くのは難しいと認めてくれればOKです。

無事、認められれば後に申請する傷病手当申請書の担当医師の欄に記入してくれるはずです。

3つ目は、会社を休んだ日が3日以上連続していること(待機期間)

例えば、1日目と2日目は会社を休み、3日目に会社に出勤した場合は、3日間連続で会社を休んでいませんので対象外です。(待機期間が完成していない)

1日目と2日目は会社を休み、3日目は会社に出勤して、3日目と4日目は休み、5日目は出勤した場合も3日連続して休んでいませんので対象外になります。

3日間連続して会社を休んで待機期間が完成すれば、4日目からは傷病手当金が支給開始となり、最大で1年6ヶ月まで支給されます。

最大1年6ヶ月ということは、大きなケガや病気で休んでも安心できますね。

2022年1月1日より「支給開始した日から最長1年6ヵ月」から「支給期間を通算して1年6ヵ月を経過した時点まで」に改正されます。

4つ目は、会社を休んだ時に給与の支払いを受けていた場合は支給されません。

例えば休業中に有休を使ってしまった場合、給与を受けていることになりますので、その期間は傷病手当金の受給はできません。

ただし、給与の支払いがあった場合でも、その金額が傷病手当金より少ない場合はその差額が支給されます。

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病気やケガで会社をやすんだとき(傷病手当金)(全国健康保険協会HPより)

傷病手当金(価格.comの¥HPより)

傷病手当金の給付額

実際、受給するための条件をクリアして申請した場合、一体いくらもらえるのか気になると思います。

1日当たりにもらえる金額は、標準報酬月額の30分の1の3分の2相当の金額になります。

標準報酬月額とは、被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りの良い幅で区分した金額となりますが、おおよそご自身の月給くらいと考えてもらえればよいでしょう。

そうは言ってもなかなか理解できないかと思いますので、例を上げてみたいと思います。

例1:標準報酬月額30万円

30万円÷30=1万円 1万円×2/3=6,666円(1日当たり)

例2:標準報酬月額22万円

22万円÷30=7,333円 7,333円×2/3=4,888円(1日当たり)

なので、月給30万円の人は1日約6,600円、月給22万円の人は1日約4,800円もらえると思ってもらればわかりやすいと思います。

ちなみに傷病手当金の支給額は全て非課税となっているため税金はかかりません。

また、会社がお休みの日も対象になりますので、例えば土日休みの方の場合は、働けなかった曜日が土日に重なっても、その土日も対象期間に含めることができます。

傷病手当金の申請の流れと注意点

まずは、会社に休む連絡を入れます。3日間休んで待機を完成させる

そして、まだ病院に行っていなかった場合は、休んだ当日に病院に行き医師に診察してもらいます。

休んだ当日、またはそれ以前に診察してもらわないと、医師によっては過去の症状については認めてもらえない場合もあるので注意が必要です。(管理人マッピーの経験より)

例えば、会社を休んで4日目に病院に行ったとし、そこで診察してもらった場合、後で傷病手当金申請書に書いてもらう際に、過去3日の期間については病院に来ていないから証明できない等と言われ書いてもらえないことがあります。

また、市販の風邪薬などで済ませて、後で病院に行き、傷病手当金申請書を書いてくださいと言っても書いてもらえないことがほとんどですので、注意してくださいね。

会社を休む前にまだ病院に行っていなければ、必ず休んだ当日に病院に行く、ここが重要なポイントになります。

次に健康保険に記載の保険者から傷病手当金申請書を取り寄せ、書類には担当医師と事業主と本人の記入欄がありますので、必要事項を全て記入します。

本人欄はすぐに記入できると思いますが、担当医師の記入欄は後日、診察を受けた病院に行き書いてもらいます。料金は保険適用で300円ほどですが、街の小さいクリニックなど、中にはよくわかっていない病院もありますので、気をつけてください。

ちなみに管理人のマッピーは、地元の病院で医師に傷病手当金申請書を記入してくださいとお願いしたら「???」と反応されたことがあります(^^;

それと、傷病手当金申請書はその場ではなく、書いておくので後日取りに来てくださいと言われることも多いです。

無事、担当医師の記入欄も記入してもらったらあとは会社に持っていき、事業主欄に必要事項を記入してもらい受け取ります。

全て記入が終わった傷病手当金申請書を受け取ったら、後は保険証に記載の保険者に提出すれば完了です。

問題なければ後日、記載した口座にお金が振り込まれます。(管理人のマッピーの場合は申請から約1ヶ月ほどで振込されました)

ちなみに傷病手当金申請書ですが、病院によってはすぐに書いてくれるところもあれば、理由をつけて拒否してきたり、なかなか書いてくれないところもあるので要注意です。本当に病院によって様々です。

会社の同僚は病気で事前に診察してもらっているにも関わらず「ウチではそういったものは書くことができない」と拒否されたそうです。(・・;)

管理人のマッピーは、過去に数回、風邪や高熱で5日〜10日程会社を休んだことがありますが、その際はしっかり傷病手当金を申請して、申請した通りお金が振り込まれました。

知っておいて損はない制度のため、是非頭に入れておくことをオススメします。それでは。

今回のまとめ

・傷病手当金制度を使えば病気やケガで会社を休んでも待機3日間を除く4日目から最長1年6ヶ月傷病手当を受給できる

・支給される額は非課税で給料のおおよそ3分の2(会社が休みの日も対象期間になる)

・有休を使うと使った日は支給されないが、その金額が傷病手当金より少ない場合は差額は支給される

・申請には医師に働けないことを認めてもらう必要があるが、休んだ当日かそれより前に診察に行かないと、過去の休業分は認めてもらえない可能性あり

・診療所によっては申請書をすぐ書いてくれるところもあれば、なかなか書いてくれないところ、拒否するところなど様々