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【資産5,000万円でFIREは可能?】独身・夫婦別シミュレーション&生活費内訳

  • 「資産5,000万円あればFIREってできるの?」
  • 「生活がギリギリにならないか不安」
  • 「FIRE後の生活費を具体的に知りたい」

巷では「資産5,000万円あれば働かなくても十分に生活できる」と言われます。5,000万円は日本では準富裕層に分類される、相当な額です。しかし、無計画にFIREしてしまうと失敗に終わり、資産が枯渇するリスクもあります。

筆者は資産運用を始めて8年で5,000万円を突破しました。その過程で何度も相場の暴落を経験し、投資詐欺で大失敗したこともあります。

そうした遠回りの経験を踏まえ、この記事では 資産5,000万円で実際にFIREが可能かを、独身と夫婦(2人)それぞれでシミュレーションします。

この記事を読むと、5,000万円でFIREできるかどうか、実際の生活イメージが明確になります。

年間200万円(月約16.7万円)の支出で生活ができればフルFIREは高い確率で可能です。200万円を超える支出があればフルFIREは難しいですが、サイドFIREなら十分に達成できます。

年間支出200万円以内なら【資産5,000万円でFIREは可能】

結論から言うと、年間支出を200万円以内(月約16.7万円)に抑えられるなら、理論上は資産5,000万円でフルFIREできる可能性が高いです。

理由はシンプルで、資産の4%を目安に取り崩すと、資産5,000万円×4%=年間200万円になるためです。

以下は資産ごとの取り崩し目安(4%ルール)です。

資産額 年間取り崩し額(4%) 月当たり FIREできるか?
3,000万円 120万円 10万円 サイドFIREなら可
4,000万円 160万円 約13.3万円 独身ならギリギリ可
5,000万円 200万円 約16.7万円 独身・生活費が少ない夫婦なら可
6,000万円 240万円 20万円 独身・夫婦とも可
7,000万円 280万円 約23.3万円 生活費が少ない家族世帯なら可
5,000万円があれば、独身はもちろん、生活費を抑えられる夫婦であれば、理論上は半永久的に資産を減らさず生活可能です。ただし「理論上」と「実運用」は違うため、以下でリスクや対処法も解説します。

【4%ルール】FIREに必要な資産額の目安

4%ルールとは、「年間支出の25倍の資産を築けば、年間にその資産の4%を取り崩しても資産が尽きる可能性は低い」という経験則です(トリニティ・スタディに由来)。

ただし、このルールは過去データに基づく経験則である点を明記しておきます。

資産形成の目標額は年間支出の25倍が目安

↓計算式はとてもシンプルです。

【例】年間支出が200万円なら、200万円 × 25 = 5,000万円

この25倍は過去の米国市場データに基づく経験則です。日本や将来の市場状況ではリスクが変わるため、余裕を持ったシナリオ設計(例えば生活費×30倍や副収入の確保)を推奨します。

4%ルールで資産を取り崩す2つの方法

4%ルールで資産を取り崩すには、以下の2つの方法があります。

<定額法>
引退時の資産残高の4%を毎年取り崩す(取り崩し額は固定)。家計が安定しやすいメリットがあります。

【例】5,000万円の資産でFIREした場合

・1年目の取り崩し額 → 5,000万円×4%=200万円
・2年目の取り崩し額 → 5,000万円×4%=200万円
・3年目以降     → 200万円のままずっと同じ

<定率法>
毎年その年の資産残高の4%を取り崩す(取り崩し額は資産残高に応じて変動)。資産残高が減れば取り崩し額も下がるため、長期の安全性が上がる可能性があります。一方で資産残高が増えた場合、取り崩し額も増えるメリットもあります。

【例】5,000万円の資産でFIREした場合

・1年目の取り崩し額 → 5,000万円×4%=200万円
・2年目の取り崩し額 → 6,000万円×4%=240万円
(6,000万円に増えた場合)
・3年目の取り崩し額 → 4,500万円×4%=180万円
(4,500万円に減少した場合)

実際は、定額法+取り崩しルールの見直し(年1回)や、運用リターンが良ければ再投資するルールなどを組み合わせるのが現実的です。

定率法は市場が低迷しているときは取り崩し額が少なくなり、市場が好調なときは取り崩す額を増やせるため、市場の変動に柔軟に対応できます。

生活費200万円の内訳を徹底シミュレーション(独身・夫婦2人)

ここでは、資産5,000万円でFIREし、生活費200万円以内の抑えた場合のシミュレーションを夫婦2人と独身に分けて解説していきます。

<前提条件>
資産5,000万円を年4%(=年間200万円)で取り崩しつつ生活する。住居は家賃が安い地方を想定しています。あくまでモデルケースです。

独身:生活費内訳(年間目安)

独身の場合のシミュレーションは以下の通りです。独身の方なら生活費も抑えやすいため、比較的余裕があります。

固定費(約64万6,000円/年)

  • 住居費(地方のワンルーム想定:4万円×12ヶ月)=48万円/年
    (例:1LDKの家賃相場:宮崎県3.5万円、鳥取県3.6万円、大分県3.7万円
    、高知県3.6万円、北海道3.9万円など)
  • 通信費(格安SIM)=1.2万円/年 ※レンジ:1.2万円〜3万円
    (例:日本通信SIM、NUROモバイル、povo、楽天モバイルなど)
  • 保険(最低限の掛け捨ての火災保険)=3,500円/年
    (例:日新火災のお部屋を借りるときの保険3,500円/年
    チューリッヒのミニケア賃貸保険3,490円/年 など)
  • 税金(住民税・国民健康保険など)=15万円/年
    ※目安10~30万円/年、世帯により変動
    (前年の所得に基づいて計算されるため人による。税金15万円はFIRE直後の支払いとして仮で計算。FIRE1年経過後は大幅に軽減可能)

FIRE1年経過後は大幅に減額可能な理由 → 運用益を申告対象としない特定口座(源泉徴収あり)を利用し、住民税の申告を行わない場合を指します。また、NISA口座であれば申告自体不要です。

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変動費(約42万4,000円/年)

  • 食費=24万円/年
    (月2万円、自炊中心)
  • 光熱費=14.4万円/年
    (ひと月当たり電気0.6万円・ガス0.3万円・水道0.3万円で計算)
  • 日用品=4万円/年
    (台所用品、バストイレ用品、掃除用品など)

合計:107万円/年(約月9万円)

→ 年間200万円の枠から差し引くと、約93万円(約月7.7万円)がレジャー・交通・交際・趣味などに充てられます。

通信費や光熱費は、住居の断熱性能や契約プランで変わります。参考:総務省 家計調査 詳細結果。(家計調査 品目分類)

独身は住宅コストや食費が抑えやすいため、趣味や旅行に回す余地が大きくなります。

夫婦2人:生活費内訳(年間目安)

夫婦2人の場合のシミュレーションは以下の通りです。固定費、変動費を抑えれば十分にFIREできることがわかります。

固定費(約92万8,000円/年)

  • 住居費(地方の1LDK想定:5万円×12ヶ月)=60万円/年
    ※持ち家なら修繕・固定資産税込みで30万円程度想定
    (例:1LDKの家賃相場:全国平均約5万円、鳥取県3.8万円、大分県3.9万円
    山梨県4万円、高知県4.1万円、北海道4.3万円など)
  • 通信費(格安SIM×2)=2.4万円/年 ※レンジ:2.4万円〜6万円
    (例:日本通信SIM、NUROモバイル、povo、楽天モバイルなど)
  • 保険(最低限の掛け捨ての火災保険)=3,500円/年
    (例:日新火災のお部屋を借りるときの保険3,500円/年
    チューリッヒのミニケア賃貸保険3,490円/年 など)
  • 税金(住民税・国民健康保険など)=30万円/年
    ※目安 20~60万円/年、世帯により変動
    (前年の所得に基づいて計算されるため人による。税金30万円はFIRE直後の支払いとして仮で計算。FIRE1年経過後は大幅に軽減可能)

変動費(61万2,000円/年)

  • 食費=36万円/年
    (月3万円、自炊中心)
  • 光熱費=19.2万円/年
    (ひと月当たり電気0.8万円・ガス0.4万円・水道0.4万円で計算)
  • 日用品=6万円/年
    (台所用品、バストイレ用品、掃除用品など)

合計:154万円/年(約月13万円)

→ 年間200万円の枠から差し引くと、約46万円(約月3.8万円)がレジャー・交通・交際・趣味などに回せます。

夫婦でも地方・倹約志向であれば十分にやっていけますが、家賃の更新料、車や保険、介護などで追加コストが発生すると計画修正が必要となります。

<出典>総務省統計局「家計調査(家計収支編)によると、2024年の二人以上世帯の月平均消費支出は約30万円(都市部)ですが、地方では生活費を4〜5割削減することも可能です。

旅行や趣味の費用は余剰資金、またはゆるい労働で稼ぐ

上のシミュレーションでは、独身だと年約93万円、夫婦だと年約46万円が“自由に使えるお金”として残る計算です。この枠を使えば国内旅行や趣味にお金を使えます。

ただし、海外旅行や長期滞在、車・バイクの維持費が増えると運用益だけでは不足する場合があります。そうした場合は以下の選択肢が現実的です。

  • 週1〜3日の軽作業(地元のアルバイト)で月3〜5万円を稼ぐ
    (地方なら時給1,000円~)
  • Webライターやアフィリエイトで在宅収入を得る
    (クラウドワークスなどで仕事あり。報酬は1文字0.5~1.5円くらい)
  • フードデリバリー等の業務でスポット稼ぎをする
    (Uber Eats や出前館など。1件あたり平均400~500円程)

これらは「お金のためだけに働く」のではなく、生活に余裕を作るための“好きな範囲の労働”として取り入れると心理的ハードルも下がります。

資産5,000万円でFIREした場合の5つのメリット・デメリット

ここでは、5,000万円という資産でFIREした場合のメリットとデメリットをそれぞれ5つずつ解説します。

メリット(代表5点)

メリットは以下の5つです。

  • 働かなくても最低限の生活が可能
    (年4%なら年間200万円使えるため、地方なら夫婦2人でもOK。生活のために働く必要がないという真の自由を得られる)
  • 人生の選択肢が一気に広がる
    (オフシーズンに格安で旅行に行く・田舎や海沿いなど好きな場所に移住する・家庭菜園、趣味、DIYに没頭する。興味のある副業にチャレンジも可能)
  • サイドFIREという選択肢でより充実度アップ
    (完全リタイアではなく、好きな仕事で月3〜5万円稼ぐ「サイドFIRE」を組み合わせると、想定外の出費にも対応でき、海外や長期旅行に行く費用も捻出できるなど、充実度が上がる)
  • 時間的・精神的な余裕が生まれる
    (FIREの最大の恩恵は「心の平穏」。朝の満員電車の乗る必要もなく、嫌な人間関係や休日を待つストレスもなくなる)
  • 健康に投資できる
    (十分な睡眠時間を確保でき、自炊や運動にも時間が使える。医療費も節約にもつながる。結果、健康面にも好影響を与える)

デメリット(代表5点)

続いてデメリットは以下の5つです。

  • 想定外の出費に弱い
    (運用益200万円は決して多くはないため、突発的な支出(医療・家電・修繕・親の介護など)があると資産を取り崩すことになる)
  • 市場が長期的に低迷した場合は生活が苦しくなる
    (運用益200万円は資産5,000万円の4%ルールに則ったギリギリのライン。市場が長期的に低迷した場合、富裕層のような「資産の取り崩しを止める」ための余剰資金や余裕がないため、不安を感じやすくなる)
  • インフレリスク
    (年間支出が200万円と固定されていても、物価が上昇(インフレ)すると、実質的な生活費は増える。インフレ率が資産の運用益を上回る状況が続くと、生活水準の維持が難しくなる)
  • 孤独感や社会との断絶
    (会社を辞めると、意外と人とのつながりが減る。「自分は社会に必要とされていない」と感じる人もいる。特に、周囲の友人がまだ現役で働いている場合、話が合わなくなることがある)
  • 世間の理解が少ない
    ( 特に地方や昔ながらの価値観を持つ人々の間で、「働いていない人」「ニート」と誤解され、理解を得にくい場合があり)

【FAQ】資産5,000万円FIREの不安解消Q&Aまとめ

Q. 資産5,000万円で結婚や子育ては可能ですか?

A. 生活スタイルを工夫すれば可能です。
例えば地方移住や共働きを組み合わせることで、子どもの教育費を確保しながらFIRE生活を維持する人もいます。
ただし教育費は1人あたり平均1,000〜2,000万円かかるため、「フルFIRE」よりもサイドFIRE(配偶者がパートや在宅ワーク)を選ぶのが現実的です。また、児童手当や保育料の減免制度を活用すれば、出費を大きく抑えられます。

Q2. 配偶者ありの場合、事前にどんな点に注意すればいいですか?

A.
FIREは「家族の同意と価値観の共有」がとても大切です。
片方だけが「もう働きたくない」と思っても、生活観がずれているとストレスになります。
特に配偶者の扶養・社会保険・住民税の扱いを理解し、健康保険の切り替えや年金の継続を早めに確認しましょう。
また、夫婦で資産を「共同管理」せずに役割分担(運用担当・家計管理担当など)を決めるとトラブルを防げます。

Q3. FIRE後にインフレが進んだらどうすればいいですか?

A.
インフレはFIREにとって最大のリスクの一つです。
生活費が年2〜3%ずつ上がると、運用益だけでまかなうのが難しくなります。
対策としては以下のような方法があります。

・株式やリートなどインフレに強い資産を一定割合持つ
・現金を多く持ちすぎない
(キャッシュ比率は20〜30%程度)
・一部を米ドル建て資産や金(ゴールド)に分散する
・必要に応じて短期的に副業を取り入れる
(これにより、物価上昇に対応できる柔軟なポートフォリオになります。)

Q4. FIRE後も老後資金は必要ですか?

A.
はい、必要です。FIRE後の生活費が年200万円でも、30〜40年続けば6,000〜8,000万円かかります。
運用が順調でも、長寿化・医療費・介護費の上昇を考えると、「資産を取り崩しながらも増やす」発想が大切です。
60代以降に公的年金を受け取れるようにしておくことで、安心感が大きく変わります。
また、持ち家のリフォームや相続準備なども早めに計画しておくと安全です。

Q5. FIRE後に失敗した人はどんなケースが多いですか?

A.
よくあるのは以下の3パターンです。

・支出管理が甘く、想定以上にお金を使ってしまった
・投資が暴落しても慌てて売却してしまった
・働かない生活に飽きて、人生の目的を見失った

これを防ぐには、FIRE後も月次で家計簿をチェックし、運用と生活を見直すことが大切です。
また、好きな仕事・ボランティア・趣味の延長で収入を得ると、心の安定と経済的余裕の両方を得られます。

【まとめ】5,000万円でフルFIREは可能だが、サイドFIREを推奨!

資産5,000万円は「人生の自由」を手に入れるうえで十分な額です。ただし、完全な無労働を目指すよりも、運用益をベースにしつつ月3〜5万円程度の軽い収入を確保(サイドFIRE)する方が長期的な安定性は高くなります

筆者もフルFIREではなく、好きなことでゆるく働く「サイドFIRE」を目指しています。

5,000万円でFIREを考えている方は、まず年間支出を洗い出し(家計簿)、生活防衛資金を確保、そして少額からの投資でコツコツ積み上げからスタートしてみてはいかがでしょうか?

ぜひこの記事を参考に、あなたらしい生き方を模索してみてください。

以下の記事では、FIRE後に後悔しない、幸せなFIREを目指す方へ向けた具体的な方法等について解説しています。合わせて見てみてください。

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